運輸業
滝沢公一さん(仮名・施工管理) 31歳
結婚したことから転職を決意。当たり前の幸せを手に入れるために。
「家族がいると、転職しづらい」。一般的にはそう考えられることが多いが、滝沢公一さん(仮名)は、結婚したからこそ転職を思い立ったという。
前職はゼネコンの施工管理。現場から現場へ、各地を転々とする生活を9年間続けてきた。しかも、毎日残業の連続で休みもほとんどなし。それでも独身時代は平気だった。仕事が好きだったからだ。
だが、結婚して、妻のことやいつか生まれてくる子どものことを考えたとき、初めて疑問が頭に浮かんだ。「今の生活のままでいいのだろうか」。ふと鏡を見れば、目の下にはいつも消えることのないクマ。自分自身の体もボロボロだったことにようやく気がついたという。
転職した今は、慢性的な睡眠不足も解消。妻との会話も増え、土日は二人で買い物を楽しむようになった。結婚、そして初めての転職が、「当たり前の生活」の大切さを教えてくれたのだった。
(※本記事の内容は、2015年1月取材時点の情報に基づき構成しています)
- 過去の
転職回数 - 1回
- 活動期間
- エントリーから内定まで55日間
転職前
- 業種
- 建設
- 職種
- 土木施工管理
- 業務内容
- 土木工事の施工管理(安全管理・計画・工程管理・書類作成等)
転職後
- 業種
- 運輸
- 職種
- 土木技術者(施工管理・計画)
- 業務内容
- 土木構造物の新設発注・施工管理・点検
給料が高くなっても、状況が変わらなければ、意味がない。
現在のお仕事はどんな内容ですか?
土木の技術者をしています。橋やトンネル、法面などの点検作業や、補修工事・新設工事をする場合の発注と、施工管理を任されています。 ※法面:切土や盛土により作られる人工的な斜面のこと。
入社前のご経歴を教えてください。
大学を卒業後、中堅クラスのゼネコンに就職。その会社でずっと土木の施工管理をしていました。本社は東京にありましたが、私自身はここ数年九州一円の現場を飛び回りながら、高速道路などを作ってきました。
転職のきっかけは?
就職して8年目、30歳のときに結婚しました。それまでは好きな仕事をしていれば、休みがなくても異動が多くても、平気でした。それが当たり前だったので。
しかし、結婚したらそういうわけにはいかない。妻との時間も大切ですし、子どもができたら、今のような頻繁な異動も大変なはず。このまま20年、30年と働いていけるのかな、と考えるようになりました。
妻も「そんなに働いて、いつまで体がもつの?」と、私の体のことを心配してくれていました。帰りはいつも遅いですし、休みもほとんどないような状態でしたからね。そこで妻と話し合い、とりあえず転職サイトに登録してみることにしたのです。
転職活動はどのように進めましたか?
仕事を続けながら、2社の転職支援会社に登録しました。職種は、土木関連の技術者を希望。勤務地は、私が生まれ育った四国と、仕事で長く暮らしていた福岡と大分、妻の地元である山口を希望しました。
求人の紹介メールはかなりもらいましたね。ただ、感覚的にピンとくる話はありませんでした。紹介してもらった中には大きな会社もありましたが、面接は受けませんでした。大きな会社だと、給料は高くなりますが、結局状況は今と変わらないかな、と思ったので。そんなときに、リージョナルキャリア愛媛から紹介されたのが、今の会社でした。
入社を決めたポイントは?
1つは、四国だけで事業を展開している会社だったこと。それなら転勤があったとしても、四国内ですみますから。もう1つは、募集職種が土木の施工管理だったこと。今までのキャリアも活かせるし、会社も安定していると感じました。
面接にはどのように臨みましたか?
面接は全部で2回。いずれも会社を休んで行きました。面接では、転職を思い立った理由や、なぜ四国なのか、なぜこの会社なのか、といった質問をされましたね。緊張はしましたが、ありのままに話すことを心がけました。そこで下手に取り繕っても、後で後悔することになると思ったからです。
生活面での変化はいかがですか?
これまで残業ばかりの生活を続けてきたので、それが改善されたことが、とにかく嬉しいです。今まではほぼ毎日夜中に家に帰って、「食べて寝る」だけの生活。休みもほとんどありませんでした。現場が動いている時には、盆も正月もありませんし、プライベートの予定は、ほとんど立てることができませんでした。
しかし、現在は土日が休みですし、夜の8時くらいには帰ることができるので、妻と話す時間も増えました。休みの日には、妻と買い物に出かけるなど、ありふれた過ごし方しかしていませんが、今まではそういうことができなかったので、妻も喜んでいます。
住まいは社員寮です。建物は古いですが、家賃は安いし、場所の利便性は良いし、探す手間も省けたのでとても助かっています。
仕事は大事。でも、家族や自分の人生はもっと大事。
転職していかがですか?
入社して1週間は研修を受け、その後はすぐに現場へ行きました。新しいことがたくさん出てくるので難しい面もありますが、楽しくやっています。例えば、構造物の検査。目視でチェックをしたり、叩いて検査したり。不慣れなことは大変ですが、ベテランの先輩に教えてもらいながらやっています。
最近では、少しずつ工事の発注や施工管理も任せてもらえるようになりました。施工管理の経験は充分あるので、下請け業者の方ともスムーズに話ができています。今までのキャリアもちゃんと活かせている実感がありますね。
転職して良かったと思うことは?
人間的な生活ができるようになったことですね(笑)。もう以前の生活には戻りたくありません。毎日朝7時から夜中まで仕事をしていましたから、今思えば慢性的な睡眠不足でした。目の下にはずっとクマがありましたし。この会社の面接を受けた時も、ひどい顔だったと思います。
面接をしてくださった課長からは、先日「健康になったな」と言われました(笑)。実際に顔色が良くなり、体重も増えました。それに、地元はやっぱり良いですね。皆が優しいし、仕事もやりやすい。自然と、自分の気持ちも穏やかになっているのを感じます。
困っていることや課題はありますか?
知らないことを学んでいくことが課題ですね。現場に行く回数を増やし、その度にしっかり聞くということを意識して、早くいろいろな仕事を覚えたいと思っています。
転職を考えている人にアドバイスをお願いします。
私は前職の会社には言わずに転職活動を進めましたが、その方法もありだと思います。「今の会社に残るという選択肢もある」と思えば、落ち着いて活動できますし、面接でも思い切ってありのままを話せるからです。
転職することを報告したのは、今の会社から内定をもらった後でした。先輩の中には「せっかく今まで育てたのに」と残念がる人もいましたが、そこはもう誠心誠意、謝るしかないですよね。自分で決めたことなので。
やっぱり自分の家族や、自分の人生のほうが大事。まずは気軽に転職コンサルタントに相談するのも良いのではないでしょうか。行動するきっかけになると思います。