株式会社システナ
富樫誠さん(仮名・技術部長) 46歳
コロナ禍で四国移住を決意。マネジメント経験を活かし、愛媛拠点の立ち上げに貢献。
大手電子機器メーカーにて、携帯電話・スマートフォンの開発やAIを活用した研究開発、メンバーマネジメントなど、幅広い業務を経験してきた富樫さん。コロナ禍をきっかけに家族との繋がりや自身の働き方を見つめ直し、配偶者の地元である愛媛へのIターン転職を決意した。
転職活動では、オンラインセミナーや転職支援会社を活用して情報収集し、これまでの経験を活かせるポジションに出会う。
現在は東証プライム上場企業のシステム開発会社の愛媛拠点で、チームを率いながら組織運営と地域社会への貢献に尽力している。Iターン転職から3年半が経過した現在の仕事と暮らしの様子を伺った。
※本記事の内容は、2025年6月取材時点の情報に基づき構成しています。
- 過去の
転職回数 - 1回
- 活動期間
- エントリーから内定まで217日間
転職前
- 業種
- 電子機器メーカー
- 職種
- プロジェクトマネジャー
- 業務内容
- 研究開発部門の組織マネジメント、プロジェクト管理、生産性改善
転職後
- 業種
- システム開発会社
- 職種
- 技術部長
- 業務内容
- 愛媛拠点の組織運営、プロジェクト管理、関連部門や取引先との交渉業務
「人との縁」を大切に、これまでの経験を活かせるポジションを発掘。
現在のお仕事はどんな内容ですか?
東京に本社を構えるシステム開発会社、株式会社システナの松山事業所で技術部長を務めています。
クライアントから受託した複数の案件において、2~3名の小規模チームから10名弱のチームまで、さまざまな規模のチームを率いて開発を進めています。
また、地域社会に貢献できるよう、事業所自体の成長を図る役割も担っています。プロジェクト推進と組織運営の両面から事業所の発展に寄与できるよう努めています。
入社前のご経歴を教えてください。
横浜で約18年間、電子機器メーカーに勤務していました。当初は携帯電話の開発に携わり、その後スマートフォンの開発に従事。ソフトウェア制御からキャリアをスタートし、徐々にチームリーダーやプロジェクトマネジャーなど、管理業務を担うようになりました。
最後の3年間は研究開発部門に所属し、工場の生産性改善やAIを活用した新機能の開発、自動運転向けのカメラなどで使用される新規モジュール開発のマネジメント業務を担当しました。
転職のきっかけは?
最大のきっかけは新型コロナウイルスの感染拡大です。コロナ禍により、人と人との繋がりが希薄になったと感じていました。
私の仕事は、現場での対面業務やメンバーとの直接的な連携を求められる場面が多かったのですが、リモートワークに移行する中で働きづらさを感じるようになっていました。
また、私の実家は香川で妻の実家は愛媛なのですが、当時は関東で単身赴任をしており、妻と子どもは愛媛で暮らしていました。コロナ禍で帰省もままならない状況が続く中で、家族との時間をもっと大切にしたいという想いも強くなっていました。
もともと将来的なUターンは考えていたのですが、これらの状況が重なり、香川・愛媛への転職を前倒しで考えるようになりました。
転職活動はどのように進めましたか?
まずは、オンラインで開催されるU・Iターン関連のセミナーへの参加や、転職サイトを閲覧して情報収集を行いました。ただ、関東にいながら四国の求人情報を得るのは難しく、これまでの経験を活かせる求人を見つけ出すのにとても苦労しました。
そこで、リージョナルキャリア愛媛にエントリーし、サポートをお願いしました。担当コンサルタントに、これまでの経験やスキル、希望条件を伝え、私が力を発揮できそうなポジションを探してもらいました。
その後、具体的な求人をいくつか紹介され、何度か質問や確認を重ねる中で、応募企業を絞り込んでいきました。
今の会社に決めたポイントは?
何社か候補がある中で、最終的な決め手となったのは「ご縁」を感じたためです。事業所の責任者と話した際、前職での経験やバックグラウンドにおいて共通点が多く、価値観が近いと感じました。
もともとキャリアを考える上で、「どんな仕事をするか」ではなく、「誰と仕事をするか」を大切にしていたので、企業選びにおいても一緒に働く方の考え方や人となりを重視していました。
特に、入社するタイミングが松山事業所を立ち上げる時期だったため、ゼロから組織を作り上げていくフェーズにおいて、仕事の進め方や考え方を理解し合えるかどうかは非常に重要なポイントでした。
新拠点立ち上げのやりがいと、愛媛ならでの穏やかな暮らし。
転職していかがですか?
満足しています。仕事面では新しい拠点をゼロから立ち上げるという貴重な経験ができ、大きなやりがいを感じています。
前職でのマネジメント経験を活かしながら、チームや組織が成長していく過程を実感できるのは嬉しいですね。
生活面でも家族と過ごす時間が増え、仕事と生活のバランスが取れていると感じています。
転職して良かったと思うことは?
最も良かった点は、事業所の立ち上げというチャレンジングな仕事に携われていることです。何もない状態から、プロジェクトを一つずつ動かし、少しずつメンバーが増えていく中で組織の成長を直に感じられ、とてもやりがいがあります。
また、地域貢献を意識する機会が増えたことも大きな変化です。地域の企業が集まるDX化などのイベントや勉強会に参加し、地元企業の方々と交流する中で、ITを通じて地域を盛り上げたいという想いを共有できることに喜びを感じています。
こうした取り組みは前職では経験できなかったことなので、「仕事を通じて地域に貢献できている」という感覚は大きくなっています。
困っていることや課題はありますか?
松山事業所はまだ新しい組織で一からつくり上げていますので、これから整えていかなければならないルールや仕組みが多くあります。
そうしたルールや仕組みを自分の手で動かし、メンバーに伝え、運用にのせていかなければならない、といったところに難しさを感じています。
メンバーも増えているので、育成や働く環境の整備にも力を入れる必要があります。
組織が拡大するにつれて全体に目が行き届きにくくなるため、少しずつ権限を委譲し、組織全体のマネジメント力を高めていくことが今後の課題です。
また、プロジェクトの推進と組織運営の両軸を回しつつ、他の支部との連携や売上・利益の管理など、多岐にわたる業務をバランス良く進めていく必要があります。それが難しさでもあり、楽しさでもあります(笑)。
生活面の変化はありましたか?
一言でいうと、とても楽になりました。関東に比べて人混みが少なく、非常に穏やかでリラックスした生活を送れるようになっています。
松山はコンパクトシティで、生活に必要なものは身近に揃いますし、少し足を延ばせば豊かな自然にも触れられます。
もちろん、専門的なものや特定のブランドの商品などを探す際には、選択肢が限られます。ただ、普段の生活で困ることはないですし、逆に選ぶ範囲が広すぎず、ちょうどいいと感じています。
また、家族との時間は増えました。以前は子どもの学校行事などに参加できないこともありましたが、現在はプライベートの時間も増え、気軽に参加できるようになりました。
転職を考えている人にアドバイスをお願いします。
私自身も「人との縁」や「誰と働くか」を大切にして転職先を決めましたが、転職活動においては、企業規模や待遇といった条件だけでなく、人との繋がりやフィーリングも大切にしてほしいと思います。
情報収集や選考活動を進める中で、もし何かピンとくる企業や社員との出会いがあれば、その直感を信じて、深く話を聞いたり、選考を進めてみることをおすすめします。
もちろん、コンサルタントや家族など、周りの方の意見を聞くことも大切です。その上で最終的には自分自身が納得し、「この人たちと一緒に働きたい」と思える場所を選ぶことが、後悔のない転職に繋がるのではないでしょうか。