ダイオーエンジニアリング株式会社
山本康雄さん(仮名・動力保全) 49歳
製紙業界で培った経験を活かした挑戦。覚悟を決めて臨んだ移住転職で得たものとは?
千葉県で製紙業界の技術者として活躍していた山本さん。発電設備の設計や運転管理、生産設備の改良といった幅広い経験を積み上げてきたが、将来的な両親の介護も視野に入れ、「地元に近い場所で自分のスキルを活かしたい」と考えて中四国エリアでの転職活動を決意した。
愛媛に工場を構えるダイオーエンジニアリング株式会社と出合い、現在はボイラーや発電設備の保守管理を担っている。
転職から10か月が経ち、新しい職場での挑戦と家族との充実した生活を両立する山本さんに転職活動のプロセスや現在の暮らしを伺った。
※本記事の内容は、2025年1月取材時点の情報に基づき構成しています。
- 過去の
転職回数 - 0回
- 活動期間
- エントリーから内定まで60日間
転職前
- 業種
- 製紙メーカー
- 職種
- 製品安全・環境管理
- 業務内容
- 生産工場の管理、製品安全に関する調査
転職後
- 業種
- エンジニアリング
- 職種
- 動力保全
- 業務内容
- 設備保全、工事業者の施工管理
自分のやりたい仕事を定年まで全うしたい。その想いで転職を決意。
現在のお仕事はどんな内容ですか?
親会社である大王製紙の工場内にある設備の保守管理を担当しています。特にボイラーや発電設備といった重要な設備の保守や点検がメイン業務です。
工場の安定稼働を支えるために日々、機械の状態を細かくチェックし、不具合があれば即座に対応しています。
施工管理にも携わっており、新しい設備を導入する際の設置工事や、既存設備の改修作業におけるスケジュール調整、安全管理の徹底などがミッションです。
加えて、入社してまだ間もないですが、社員教育にも関わるようになりました。若手社員に自分がこれまで培ってきた経験を少しずつ伝えています。
業務範囲は幅広いですが、製紙工場という現場が持つ独特の緊張感や責任感を日々感じながら、やりがいを持って取り組んでいます。
入社前のご経歴を教えてください。
前職も製紙業界で働いており、最初に担当したのは発電設備の設置や設計、運転・操業で、そこで機械の構造や運用に関する基本を徹底的に学びました。その後、生産設備の設計を任されるようになり、新規設備の導入や既存設備の改良にも携わりました。
その後は子会社に出向き、製品安全に関するリスク調査や報告書作成を担当。この業務では、安全基準を満たすために細かいデータ分析や現場確認が求められ、論理的な思考力と実務の知識が必要でした。また、有害物質の除去など、特殊なプロジェクトを手がける機会もありました。
転職のきっかけは?
一つは、両親の高齢化です。私の両親が広島、妻の両親が香川に住んでおり、将来的に介護が必要になった時に毎回帰省するのは現実的ではありませんでした。そのため、どちらの実家にもアクセスしやすいエリアで生活基盤を作る必要があると考えました。
もう一点は、自分の仕事に対する想いです。ある仕事を定年までの勤務を想定して打診されたのですが、自分のやりたい内容ではなかったというのが正直なところでした。というのも、私自身大学で機械を専攻して社会人になってからもずっと機械畑を歩んできましたが、その仕事は化学関係だったのです。
もちろん、面白みも感じていましたが、社員同士の会話についていけないこともあり、ここでは自分の専門性を活かせないと感じました。
これらの理由から、「自分の専門性を活かせる仕事をしたい」「定年まで充実したキャリアを送りたい」とい想いが強くなり、U・Iターンも含めて転職を検討することになりました。
転職活動はどのように進めましたか?
まずはいくつかの転職サイトに登録し、自分の希望条件に合う求人を探しました。登録して間もないころにリージョナルキャリア愛媛のコンサルタントから連絡をもらい、すぐに面談を調整したことが転職活動の大きな転機になりました。
他の求人サイトでもいろいろと求人を探していましたが、条件が一致しないものや、本当に自分がやりたい仕事かどうか迷う求人も多い状況でした。気になった求人もいくつかはあったのですが、「実際はどうなのか」といった不安が拭いきれず、応募まで至りませんでした。
最終的には、リージョナルキャリア愛媛のコンサルタントの力が非常に大きかったです。私の経験や希望を詳しく聞き取ってもらい、適切な求人を紹介していただけました。
特に、自分では探しきれない情報や企業の内部事情についても詳しく教えていただき、安心して応募を進めることができました。
今の会社に決めたポイントは?
決め手は二つあります。一つ目は、業界経験を活かせる点です。異業界も視野には入れていたものの、年齢的にも未経験で新しい業界に転職するのは限界を感じていました。
そうした中で、同じ製紙業界での経験が評価され、即戦力として採用してもらえる安心感がありました。業務内容についても、仕事の流れや専門用語もわかるので、すぐに活躍できるイメージが湧きました。
二つ目は、「人」です。特に常務からの「ぜひ一緒に働きましょう」という言葉は胸に刺さりました。その一言で「この会社で自分の力を発揮しよう」と覚悟が決まりました。
転職にあたって唯一懸念だったのが、子どものことです。私自身、親が転勤族で幼少期は転校を繰り返していたので、その時の寂しさを自分の子どもにさせていいのかという葛藤がありました。最終的には妻との話し合いの中で、転職を決意しました。
仕事もプライベートも充実した毎日に、この選択が正しかったと実感。
転職していかがですか?
転職してから10か月ほど経ちますが、率直に言って大きなギャップを感じることはありませんでした。前職と似た業務内容が多く、設備や機械の取り扱いもこれまでの経験が活きています。
ただ、今の職場は年齢の若い社員が多いため、世代ギャップを感じることはあります。特に、今任されている若手社員の教育面では課題を感じています。私がこれまで経験してきたことを、今の若い世代にあわせて教え方を工夫していく必要があると感じています。
とはいっても、職場の人間関係や雰囲気はとても良いので、ストレスなく働けている点は非常にありがたいです。
転職して良かったと思うことは?
一番良かったと感じるのは、自分がやりたかった仕事をできていることですね。自分の専門性を活かし、日々の業務に集中できる環境は大きなやりがいがあります。
また、プライベートの充実も転職の大きな成果です。自然豊かな環境で子どもがのびのびと成長しているのを見ると、この選択が正しかったと実感します。家族との時間も増え、全体的に生活の質が向上しました。
困っていることや課題はありますか?
仕事の課題に関しては、先ほどもお話しした通り、若手社員の教育についてですね。前職でも社員教育は任されていましたが、その教育手法が今の職場では通用しないケースがあり、別の手法を試したり、アレンジしたりしながら進めています。
また、プライベートに関しては、地方特有の不便さを感じることもあります。例えば、これまで書籍を購入する際、書店で中身を確認してから買うことが多かったのですが、今はなかなか書店まで足を運ぶ機会がないので、そういった点は難儀しますね。
生活面の変化はありましたか?
都会の生活から地方の暮らしに変わり、最も大きく変化したことは移動手段です。以前、千葉に住んでいた時は主な移動手段が電車でしたが、移住してからは車が必須になりました。
車での移動は自由度が高いですし、特に子どもにとっては良い環境だと思います。休日には家族で自然を満喫したり、県外へドライブしたりすることが多くなりました。
転職を考えている人にアドバイスをお願いします。
まず、自分が「やりたいこと」を明確にすることが大切です。その上で、情報収集を徹底してください。特に、家族がいる方は家族の意見を尊重しながら計画を立てることが重要です。
また、信頼できる紹介会社を活用することで、スムーズに転職活動を進められるでしょう。
そして、最後に大事なのは「覚悟」です。退路を断ち、自分が決めた道を進むという強い気持ちを持つことで、新しい道が見えてきます。
新しい環境での挑戦は不安もあると思いますが、覚悟を決めて取り組むことで、きっと自分の成長につながるはずです。