採用が経営を変えた瞬間 代表取締役 川本 栄次氏

道後発!観光業の未来を創造し、
世界基準のサービスブランドへ。

株式会社茶玻瑠 / 代表取締役 川本 栄次

Vol.2

株式会社茶玻瑠
代表取締役 川本 栄次

1951年生まれ。山口県出身。高校卒業後、専門学校へ経てイギリスにてホテル業に従事。両親が経営する旅館事業を継承するために帰国。1977年に株式会社ホテル茶春の代表取締役に就任、2003年に株式会社茶玻瑠へ社名変更。道後温泉において先進的な取組みを行ってきており、「社員一人ひとりが夢を叶える会社づくり」、「観光業の地位向上」をライフワークに精力的に活躍。

更新日:2021年12月1日

松山・道後に「変化」を生み出してきた、稼働率96%超の人気ホテル。

当社は道後温泉エリアで、「茶玻瑠(チャハル)」と「CHAHARU離れ 道後夢蔵」の経営を行っています。道後温泉本館のすぐ裏手に位置する建物となり、現在の建物は1987年10月14日にオープンしました。オープン当日の新聞の一面広告は、「おはようございます、道後です。」というキャッチコピーでした。日本最古の温泉地でありながら、地元・松山の人達には魅力が伝わっていなかった道後。茶玻瑠は「これからの道後を創っていくホテル」としてメッセージを考えました。これまで事業の浮き沈みはもちろんありましたが、おかげ様でコロナ前は稼働率96%超とお客様から高い評価を頂いてまいりました。

茶玻瑠の歴史を紐解くと、明治時代から続く老舗旅館でした。当時は「茶春」という木造3階建てのお遍路旅館でしたが、その旅館には跡取りがおらず、ご縁があり私の両親が購入したのが始まりです。両親は山口県の柳井という町で小さな旅館を経営していました。両親は全国を旅行で回っては、「小さな町ではなく大きな町で勝負したい」と考えていたようです。柳井の親戚達からは大反対にあいましたが、松山・道後に移り住み1967年に事業をスタートさせました。当時高校生だった私は、学校のこともあり山口で下宿生活を選択しましたが、息子として「いつか両親を手助けしてあげたい」と思っていました。そのため、大好きな野球も辞めて、高校の3年間はすべて旅行や観光に時間を使い、自転車やヒッチハイクなどで全国を旅しました。

高校卒業後は、海外と繋がりのあるホテル関連の専門学校へ進学。その後、イギリスへ渡りました。通算2年間の渡英でしたが、様々な経験をして「世界で活躍するホテルマンになりたい」と本気で思っていました。当然、跡を継ぐ気持ちも忘れており(笑)、日本へ帰ることも考えていませんでした。ただ、お祝い事にて帰国した際に、父親から「そろそろ一緒にやらないか」と相談されました。当時はまだ20代でしたが、事業承継するとしても、自分の力や責任で勝負したいと考えて、「社長にしてくれるならやってもいい」とわがままを言いました。その申し出を父親も母親も快諾してくれて、帰国後3年間はホテル茶春でがむしゃらに働き、1977年の法人成りのタイミングで代表取締役に就任しました。

新しいことへのチャレンジ。あるべき姿に向けて、理不尽との闘い。

社長就任時、ホテル茶春は地上6階建て・地下1階の小規模なホテルでした。団体旅行を斡旋する旅行エージェントに足しげく通って営業活動に力を入れましたが、お客様を全く紹介いただけませんでした。なぜならば、当時は団体旅行がメインであり、大きいことが良い事とされていたからです。このままでは集客できないし、勝負できるスタートラインに立たないといけないと考えました。ただし、他とは違うやり方でチャレンジしようと決意しました。ホテルを拡大するには、増築していくのが主流の時代。私は既存の建物があることで、全体の構想が崩れることが嫌でした。当時のホテルは建築してまだ15年程度しか経っておらず、償却も終わっていませんでしたが、建て直すという一大決心をしました。当時父親はこの決断に大反対で、その後もわだかまりがありましたが、「茶玻瑠」のオープン時には「お前の決断は正しい」と言ってくれました。父親は60才で他界しましたが、今でもその言葉が嬉しかったことを鮮明に覚えています。

当時の旅館・ホテルは家族経営がメインでしたが、「茶玻瑠」がオープンするタイミングで私は身内には勇退してもらいました。経営者としての自分の考えを大切にしたかったことに加えて、企業として運営したほうが、従業員にとっても夢があると思った為です。また、当時の男性中心の団体旅行から都市型の温泉郷への転換を考えていました。団体旅行中心のエージェントファーストではなく、宿泊されるお客様が中心となる顧客ファーストが、あるべき姿だと思いました。旅館は大きさに価値があり、安売り競争のパイの奪い合い。明確な料金がなく、グレーな部分も多い。部屋や料理が一緒にも関わらず、なぜ料金が違うのか。そんな理不尽なことはやりたくなかったというのが本音でした。そして、道後を地元・松山の人達に愛される街にしていきたいと本気で考えていました。地元の人達が来るには、「夜」の道後ではなく、「昼」の道後にしないといけない。そのように考えて、ランチやブライダル、宴会料理以外の選択肢の提供など、今では当たり前になっていることばかりですが、当時からチャレンジを続けてきました。

また、10年前からはアートにも注目しています。フィンランド・デザイン界の第一人者として知られている愛媛県砥部町出身のデザイナー・石本藤雄さんとは2013年に出会いました。海外を拠点にされていた石本さんでしたが、地元で個展を開きたいという想いを聞き、私が実行委員会として開催をサポートしたのがご縁となりました。その後も、茶玻瑠の内装リニューアルや、道後のイベントなども含めてお付き合いを続けています。

良い時こそ「変革」のタイミング。世界基準のサービスブランドへ。

直近の10年くらいは、自分が思い描いてきたことがようやく少しずつ形になってきました。また、ホテル事業も稼働率96%超と一見順風満帆でしたが、私としては次の20年を見据えて、事業を次のステージに引き上げるべく、今までの成功体験を捨てて変革するタイミングだと考えていました。なぜならば、良いことは続かないという経験則があるからです。また、いい時にこそチャレンジすることでリスクが取れますし、次の事業を創ることができると考えています。事業はどうしてもマンネリ化してしまう時がくるものです。悪くなった時はじっと耐えるしかないですが、良い時こそ「変革」のタイミングだと考えています。現在はコロナ禍により事業も少なからず影響を受けていますが、コロナがあっても無くても変革しようという決意に変わりはありません。

現在茶玻瑠では、「道後発、世界基準のサービスブランド“CHAHAL”を創る」をスローガンに、大きな変革に挑戦しています。ホテル事業と飲食事業を引き続き中核事業としつつ、道後温泉の旅館から大きくステップアップして、地域のみならず日本のサービス業・観光業を活性化できるような企業への変革を目指しています。その最初のステップとして、松山三越7階・8階に2021年12月上旬、ライフスタイルホテル『HOTEL LEPO CHAHAL(ホテル レポ チャハル)』とフレンチダイニング『RESTAURANT AINO(レストラン アイノ)』を開業します。ホテル名の“LEPO”とは、フィンランド語で休息を意味し、シンプルながら内なる美しさを感じさせる北欧デザインと瀬戸内の“居心地のよさ=cozy”を感じさせるライフスタイルホテルです。

地域を背負う覚悟。地方活性化に向けた試金石。

今回の新しいプロジェクトですが、松山三越様から茶玻瑠に依頼したいというお話を頂いた時、評価された喜びもありましたが、受けて立つ責任感の方が強かったですね。また、松山の中心部と道後を活性化するチャレンジでもありますし、茶玻瑠の社員にとっても大きな成長のチャンスだと捉えています。日本を代表する百貨店を舞台にした挑戦ですが、デパート業界のみならず地方活性化の試金石となる取組みだと考えています。地域の良さをどれだけ引き出せるか、上質で価値ある体験をどれだけ提供できるか、簡単ではないですが、私たちなら「やれる」と信じています。

私が観光業を通して提供したいことの1つは、夢を語れることやライフスタイルを豊かにする「きっかけ」づくりです。例えば、茶玻瑠での夕食時にお気に入りのワインとの出会いがあったり、また、我々の接客応対に感動して、自社の社員教育に力を入れようと感じて頂いたりということも、「きっかけ」だと思います。また、北欧のような自分らしい生き方を大切にしており、自己犠牲ではなく、生活を楽しめる「自分の時間」を感じてほしいと考えています。そんな想いもあり、今回の松山三越でのプロジェクトには総力を挙げて取り組んでいます。

観光業は「心」を運ぶ仕事。素直さ・謙虚さ・情熱を持った仲間を求めています。

これまでの事業経営の中で、多くの仲間に支えられてここまで成長してきました。観光業などのサービス業は人の出入りが多い業界だと言われていますが、教育や育成にもっと力を入れるべきだったという個人的な反省もあります。これからは経営陣・マネジメント層が率先して、仲間の想いを引き出し、一緒に成長していきたいと考えています。これまでも、メンバーが活躍・成長できるステージを準備してきたつもりです。ただ、今後はさらに面白いステージが待っていると思います。また、当社にフィットする方は、素直さ・謙虚さ・情熱を持った人です。お客様にとって何が良いのかを真摯に考えつづけることが出来る人、恥をかくことを恐れずに教えを乞える人、どんな状況でも感謝を伝えられる人、そんな人を私は素敵な人だと思っていますし、一緒に仕事をしたいと思います。

最後に、私のミッションは観光業および観光業で働いている人たちの地位を上げていくことです。誰にでも出来ると思われているけど、誰でも出来る仕事ではないのが観光業の仕事です。構造的・文化的な課題はありますが、マーケティングやITの力で変えていける面も大きいと思います。「心」を運ぶ仕事である観光業。松山・道後から一緒に楽しみながら、変化を起こしていければと思います。

編集後記

愛媛・道後温泉エリアで「茶玻瑠」と「CHAHARU離れ 道後夢蔵」の経営を行っている同社。道後温泉本館のすぐ裏手に位置し、コロナ前は稼働率96%超という道後の人気宿泊施設です。順風満帆とも思える状況から、良い時こそ「変革」のタイミングだと考え、大きな変革に挑戦されています。いよいよ2021年12月上旬に、松山三越にライフスタイルホテル『HOTEL LEPO CHAHAL』とフレンチダイニング『RESTAURANT AINO』が開業します。川本社長が大切にする、「心」を運ぶ仕事。そんな「観光業」から変革を起こし、地域を元気にしていく取り組みに今後も注目していきたいと思います。

文:リージョナルスタイル認定コンサルタント 松本 俊介

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